2013年の段階で話がなされていることに留意されたい。まあ12年経過しても本質は変わらないだろうけれど。
ーーーー講義録始めーーーー
竹島問題を本日お話しするにあたり、改めて本シリーズの教材構成と意図を確認しておきます。本シリーズには放送大学の印刷教材が付属しており、領土問題の当事者論を左右するための番組ではなく、視聴者ご自身が十分に学んだうえで判断できるよう、多角的な視点を提供することを目的としています。
さて、竹島問題は戦後一貫して存在してきましたが、2012年8月、当時の大統領イ・ミョンバク氏が竹島(韓国名:独島)を訪問したことで国際的にも一気に注目を集めました。なぜこのタイミングだったのかを考えると、イ・ミョンバク政権末期に支持率が就任直後の約50%から20%台へと急落した背景があります。韓国の政治文化では、対日強硬姿勢を鮮明にすることで国内支持を回復しやすい傾向があり、結果として竹島訪問が政治的パフォーマンスと結びついたわけです。
孫崎享先生のご見解によれば、これは本来の国際問題化に加え、明確に国内政治的な動機が色濃い事例です。イ・ミョンバク氏も日本側の反発を十分に予想しつつ、「国内支持率回復」を最優先に行動したと考えられます。このように、領土問題は国際関係の文脈だけでなく、各国の国内政治や世論動向とも深く結びついている点を念頭に置いて議論を進めていきましょう。