ーーーー講義録始めーーーー
「棚上げ」という知恵は、韓国でも日本でも後継者に十分に受け継がれていません。世論の多くは「自国の領土だと主張するなら、なぜ断固とした措置を取らないのか」と強い反発を示しがちです。確かに、紛争を未然に回避できるかどうかは予測が難しく、「明日すぐ行動に移せるはずだ」という論調が勢いを増すのは自然なことです。
しかし領土問題は、両国民それぞれが自国の正当性を強く主張する方向に向かいやすく、一度“100点満点”を追求すると、後に「取り戻そう」という動機が生まれ、再び対立が深刻化しかねません。
そこで交渉の「落としどころ」としてよく引かれるのが、100点満点のうち51点を獲得できれば十分だ、という考え方です。自国の主張を過半数に収めることで、相手側も完全勝利を阻まれ、将来的な再挑戦を抑制できる──この「51点ルール」は、外交交渉の現場で有効な知恵とされています。
確かに説明役の外交官や政治家は「弱腰だ」と批判されることがありますが、長期的な安定を考えれば、一時の全面勝利よりも過半数の妥協点を狙うほうが現実的です。本来であれば、有権者や国民にもこうした交渉のニュアンスを丁寧に伝えられるとよいのですが、なかなか難しいのが実情です。





