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エビデンス・ベースド・プラクティス(Evidence-Based Practice, EBP)とは #放送大学講義録(認知行動療法第2回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

従来の治療法選択

  • 治療者個人の好み

  • 経験に基づく判断

  • 主観的な印象

エビデンス・ベースド・アプローチ

  • 科学的研究に基づいた治療法の選択

  • 効果の有無や効果量に関するデータの重視

  • APA(2006)によるEBPP:研究エビデンス・臨床専門性・クライエントの特性・文化・価値観の統合


心理学分野での変化

心理学は「目に見えない心」を対象とするため、かつて臨床心理学の一部では「人間的要素の重視」が強調され、数値化や実証研究が軽視される傾向もありました。
しかし現在では:

  • 数値化できない側面も尊重しつつ

  • 科学的エビデンスの活用も必須

  • 両者のバランスを取ることが重要


科学者–実践者モデル(Scientist–Practitioner Model)

基本概念

  • 1949年のボルダー会議で提唱

  • 実践者(治療者)は臨床だけでなく、科学的態度を持ち研究にも接続することが期待される

具体的要件

  • 最新の論文を読む:常に研究成果を把握

  • 研究活動への関与:自身が研究に参加、または共同研究を支援

  • データ重視:客観的データを臨床判断に活用

  • 検証的態度:治療効果を測定・評価する


実践への応用

  • リスク評価の科学化

    • 従来:主観的判断に依存

    • 現在:性犯罪者用リスクアセスメント尺度などによる客観的評価

  • 治療効果の測定

    • リスクレベルに応じた個別化治療

    • 治療前後の変化を測定し効果を検証


臨床研究の一例

  • 一部の研究(原田隆之ほか)では、痴漢治療プログラム受講者の再犯率が低水準に抑えられたことが報告されている(例:約4%未満)。

  • ただし数値は研究デザインや対象集団に依存し、一般化には注意が必要。


科学者–実践者モデルの実践

  • 最新エビデンスへの継続的接触:臨床知識は日々更新されるため、学び続ける必要がある

  • 検証可能な仮説設定:治療における仮説を立て、実践を通じて検証

  • 研究活動への参加:科学知識の蓄積に寄与し、科学者的姿勢を維持


数値化への批判と応答

  • 批判:「心理学は数字ですべてを語れない」「人間性が軽視される」

  • 応答:

    • 数値化できない部分も確かに重要

    • しかし数値化可能な部分は適切に評価し、エビデンスを基に臨床を進めるべき

    • 何よりもサービスを受ける当事者の利益を中心に考えることが重要