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学習における「余裕」の重要性 #放送大学講義録(成人の発達と学習第5回その2)

ーーーー講義録始めーーーー

 

「余裕」こそが継続の鍵

前回、小宮山さんから抽象的思考の重要性についてお話を伺いましたが、もう一つ重要なキーワードが「余裕」です。
真面目でよく勉強して進学校に合格する中学生も確かにいました。周りから勉強することを期待され、「勉強」という言葉通り、強いて努めるということを実践していたようです。良い学校に行き、親の期待に応えるために一生懸命勉強した。学校の先生によく思われたいために勉強して、そこそこの進学校に行っていました。
しかし、入学してから伸び悩む子どもも結構いたのも事実です。真面目なのですが、教科書から外れた勉強はあまりしていなかったようです。学ぶことに対して息切れしてしまっているのかもしれません。
一方、高校、大学へと進んで卒業してからもエネルギッシュに働いて学んでいる子どもを見ると、皆余裕があったという共通点がありました。「勉強」ではないという記憶があります。

外発的動機づけだけでは続かない

小宮山さんは、この余裕が勉強を続けるかどうかのポイントの1つだと考えています。外発的動機づけ中心の、外からのプレッシャーのみの学習環境では、理屈で考えても学びが継続するとは考えられません。
でも、小中学校で学んだことが面白かったという経験を一度でもしていると、学びに対しての抵抗感は少ないようです。そして、学校にいることが楽しくなるという副次的な効果があります。
教科書に出てくること以外のスポーツ、音楽、美術などを含めた学びにも関心を示し、何事にもアクティブに勉強していました。内申書のためだけでなく、人と接するのが好きだから部活動や生徒会活動をしていました。学校のテキストだけでなく、何か夢中になっているものがある。そういう子ども時代を過ごした人は、大人になっても学び続けているという例をよく見られたそうです。

学び続ける子どもの3つの特徴

小宮山さんがこういう子どもたちを見ていて、小学校から高校生ぐらいまでの子どもで、やはり3つ重要なことが揃っているような気がしたそうです。

  • 余裕

  • 粘り強さ

  • 真面目

この3つが揃っていると、ずっと学び続ける確率が非常に高いとのことです。

 

参考図:講義内容の構造整理(概念図)

講義で示されている要素を、発達段階と心理的要因の関係として整理すると、以下のようにまとめられます(新しい「事実」ではなく、内容整理のための図です)。

 

発達段階・領域 講義で強調される要素 関連する研究知見の方向性(要約)
小中学校での学習経験 「面白い」「楽しい」学びの経験、成功体験 自律的・内発的な動機づけが学習継続と関連 (ベネッセ教育情報)
動機づけの質 外発的プレッシャーだけに頼らない/興味・価値 統制的動機づけより自律的動機づけが適応的 
教科外・課外活動(部活等) スポーツ・音楽・美術・生徒会などへの主体的参加 課外活動はメンタルヘルスや適応に小さな正の効果
心理的・時間的「余裕」 息切れせず、遊びや興味のスペースがあること time affluence や良質な余暇がウェルビーイングに関連 
個人特性 余裕・粘り強さ・真面目さ 粘り強さ・誠実性は長期的な達成と関連(一般的知見)