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美術(美学・芸術学研究第5回)

絵画のジャンルに序列があった(というか教授にとっては今でもある模様)のは意外に思ったが、肯けるところはあった。

 

一般理論の上に立って各論。Leonardo da Vinci。絵画を軽蔑する者。創意工夫を軽蔑すること。絵画という自然の正統な娘。自然が目に見えるあらゆるものを生み出し、それから絵画が。自然の孫娘。神の血筋をひく。絵画という芸術はミーミーシス。正統的なヨーロッパ美学の本領。絵画は学問。哲学的で創意工夫に満ちた。レオナルドだけの思想ではない。プラトン以来18世紀まで。万能の天才であることは事実だが、レオナルドだから芸術が学問だと言ったのではない。画家であるが故に芸術は学問だと言っている。レオナルド以外の画家も、他の種類の芸術家も。自然こそが学を産み、画家が孫娘。芸術は学である。芸術は世界の本質を。芸術以外の他の学問。世界に対するアプローチ。知的な用語を使いながら。芸術は物を用いて迫っていく。迫っていく先の向かう先は芸術と学問は同じ、世界。
レオナルドが非常に力を込めた絵画について。ジャンルに序列が。現代人にとって訳のわからないもの?18世紀までの古典主義。序列。一番は歴史的主題を用いたもの、歴史画。2番目は肖像画。3番目に風俗画。4番目に風景画。最下位に静物画。無生物を。価値の序列。何故?学であることの結果。絵画が描く主体が教養のある者でないと描けないのかどうか。ギリシア神話や聖書の記述を知らないと書けない。知性がないと分からないという前提。世界についての理性と知識が無いと分からない。学問。不当にも思える序列は、学問であることの自然な産物。「芸術は世界の力である」。から。第5章。風俗画について。美術の用語について誤解をされがち。現代の日本ではともかく、風俗画は、ジャンルの絵画、という意味。歴史画ではないすべてのジャンルの。現在では権力者ではない無名の市民の姿を描く絵として。歴史画。肖像画。かつては王侯貴族などの権力者たちを。風俗画は無名の庶民の姿を。風景画。静物画。序列を為している。それにも意味がある。世界の本質。多様な在り方を。知的能力を駆使しなければならない世界もあればそうでない世界も。ホメーロスとイーリアス。キリスト教の物語。歴史上偉大な人物を。難しい世界を描くが上に。肖像画。成功を収めた者を描く。市民であっても人間であるが故に悩み複雑な人生を。風俗画。風景画や静物画は目の前を描けば良い。5つの序列に全面的に賛同している訳ではないが。18世紀までのヨーロッパの美学理論においては厳然と序列が存在。学であることの結果。
彫刻。絵画が世界の本質を表す学であることは彫刻にも妥当。彫刻も学。ギリシア彫刻。ミロのビーナス。美術史学において最も高名なのはラオコーンという作品。バチカン市国に。ラオコーンの物語。トロイ戦争。ギリシア軍のトロイの木馬の計略。負ける方の側も見抜いていた者も。神官ラオコーン。正しい指摘をしたが、ギリシアの神々はギリシア側を応援した者も。ラオコーンを殺しにかかる。定型詩。韻を踏んだ。日本語の韻に訳している。トロイアの人々は撤退したと思った。トロイア城の壁は神が作った。10年も戦争していて疲れていた。祝いであの木馬も入れようとした。神官ラオコーン。七五調。ギリシアの兵士が入っていると。蛇が。2匹の大蛇。陸上に上がってラオコーンを殺す。息子を殺して父も締め上げる。彫刻したのがラオコーンの彫刻。文明性を余すこと無く伝えている。理性的とは全く異なる?親子3人がぐるぐる巻きになって。ヘレニズム美術。激しい感情表現。彫刻されているラオコーンの感情表現。ミロのビーナスも。永遠化することに成功している。都市国家の滅亡を防ごうとする。神の怒りをかって。人間が生きていく上でぶつかる文明的なもの。劇的に物化されている。ギリシア悲劇を市民全員で見ていた市民主義的なポリスの世界とは全く違う。共同体が消え去ってしまった後に生々流転する只中に個人として生きていかざるを得ない。個人の力で生きていく世界に相応しい。クラシック期に作られたのではなくて。ヘレニズム期に。激動の劇的な表現。彫刻作品、あの時代の劇的な世界の本質をミーミーシス。ミロのビーナスもヘレニズム期に。身体が正面を向いているのではなく捻っている。かなり強く。ヘレニズム期の特徴。劇的な表現はないが。その度合は少ない。ラオコーンに比べればクラシック期に近い。クラシックとヘレニズム両方の特徴を持っているのは、メディチのヴィーナス。18世紀までは素晴らしい古典の典型例とされた。小さい模型が販売されていてそれを見て勉強していた。ギリシア古典の典型。エロティックな。ローマでは非常に評判になったのでフィレンツェに。非常にエロティック。低俗なわけでも卑猥なわけでもない。エロティックは人間の生き様の重要な部分。何もいかがわしいものではない。低俗でも卑猥でもなく充分正統に、真正面から扱う。古代ギリシアからずっと存在。連綿と続くエロティズム。18世紀におけるまで重要。女性の身体の美の一原型。来世ではなくて現世における降伏の一源泉としての。ロココ美術の特徴。ヘレニズムのロココ。現世的なエロティックな女性像。古典的彫刻作品は様々な本質を。彫刻と言っている場合に。彫る彫刻と流し込む彫刻。流し込む彫刻も本質を表現していることに変わりはないが、殆どが大理石しか残らなかった。金属は溶かされて武器となった。ポセイドン。ブロンズ作品。海の中に沈んでずっと海底にあった。青銅器。彫刻も世界の本質を表現。芸術は、広く言って美術においては、学である。世界を表現。古典であろうが現代であろうが。現代的な彫刻も現代的な絵画も同じ。Leonardo da Vinciが万能の天才であるが故にではない。レオナルド以外の他の人間も世界の本質に迫るもの。ルネサンスに限らない。美学理論の歴史でも18世紀まで。芸術は世界の表現、世界の学。美術作品は視覚という点で、物という面において感覚的な道を通りながら、理性を通して世界の真を表現。文学や詩においても。世界は本当に多様。その様々な本質を。芸術も多様。多様極まりない様々な芸術。それもすべて学。

 

美学・芸術学研究 (放送大学大学院教材)

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