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残酷さ。

日本国憲法の36条は以下のような条項である。「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」戦前に横行した反省の上に立った規定である。これをもって死刑廃止論者は、死刑も残虐な刑罰に該当するのだから死刑は廃止すべきだ、と論法を展開することが頻繁にある。要は命を奪う残酷な刑罰が死刑なのだから無くすべきだと。如何にも条文から発想をする法学徒らしい展開をする。ついでに法学徒らしく考えると、憲法の31条にはこう書かれている。「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」刑罰で生命を奪うことがあるという前提で書かれていることが読み取れる。法学部の学生時代に以上のように反論をしたら、単なる言葉のお遊びだ、と言われたことがある。そもそも法の解釈なんて言うものは言葉のお遊びを含むものなのだけど。まあ法解釈学の研究者はそれに自身の職業をかけている訳で、その手の表現には抵抗があるのかもしれない。ついでに書くと、死刑の場合は執行してしまってから冤罪と分かると取り返しがつかないという側面があることも考慮に入れる必要がある。