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中小企業の事業承継と後継者不足問題(人生100年時代の家族と法第13回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

続いて、2つ目のテーマである事業承継についてお話しします。
「事業承継」という言葉には、法律上の定義はありません。では、この言葉はどのような場面で使われるかというと、一般的には会社、特に中小企業において、その事業を後継者に引き継がせて、会社の雇用や技術を将来にわたって継承することを指します。日本の会社のうち、中小企業は約99パーセントを占めると言われています。これほど多くの中小企業が存在し、そこで雇用される従業員も数多くいます。

ところが、中小企業では経営者の高齢化が進んでおり、後継者不足が深刻な問題となっています。
ここでデータを見てみましょう。このデータは、全国のすべての業種について後継者の動向を調べたものです。2021年には、約26万6000社について調査を行った結果、後継者がいない、または未定であるとした会社が約16万社あり、全体の61.5パーセントに上っています。
10年前の2011年から2020年までの間では、この割合は65パーセントから66パーセント台でした。それに比べると、やや改善されたものの、依然として高い割合です。

後継者がいない会社は、後継者を見つけられない限り、そのままでは廃業に追い込まれてしまうこともあります。このデータは、2019年に実施された中小企業の事業承継に関するインターネット調査の結果ですが、廃業を予定している企業に廃業理由を尋ねたところ、子供がいない子供に事業を継ぐ意思がない適当な後継者が見つからないといった後継者不在による廃業が29パーセントを占めていました。このように、事業承継は会社の存続に大きく関わる、とても重要な問題です。

また、なぜ「人生100年時代の家族と法」という講義で事業承継を取り上げるかというと、中小企業の経営者が事業を後継者に引き継ぐ際、誰に承継させるかによって、前述の家族間の財産移転が発生することがあるからです。