ーーー講義録始めーーーー
現代社会では、メンタルヘルスの問題が深刻化しています。働く人々のうつ病、過労死、自殺、子どもの抑うつ傾向、いじめ、不登校、ひきこもりなど、さまざまな心の問題が社会全体に影響を及ぼしています。厚生労働省によると、2009年(平成21年)における「自殺やうつ病による経済的損失」は約2.7兆円と推計されており、その実態の深刻さがうかがえます 。
これまではこうした問題が個人的なものと捉えられることが多かったものの、現在では社会全体で対応すべき重要な課題として認識されるようになりました。そのため、メンタルヘルス問題の改善は急務であり、解決策として認知行動療法(CBT)への期待と社会的要請が高まっているのです。
認知行動療法(CBT)は、認知や行動のメカニズムを科学的に理解し、実証された手法に基づいて改善を図る心理療法アプローチです。最終的には、利用者(患者・クライエント)が自身で技法を活用できるようになることを目指しており、こうした自己導入型の支援は「guided self‑help(ガイド付きセルフヘルプ)」とも呼ばれます。
