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雇用ポートフォリオの基礎:雇用区分とは何か—正規・非正規、直接雇用と派遣の違いまで #放送大学講義録(人的資源管理第10回その1)

ーーーー講義録始めーーーー

 

# 【第1回】雇用区分の多元化と雇用ポートフォリオ:雇用区分とは何か

はじめに

雇用区分の多元化と雇用ポートフォリオについての解説を始めたいと思います。この連載では、パートや契約社員など非正規社員といわゆる正社員に加えて、最近注目を集めている限定正社員など、多様な雇用区分とその組み合わせのマネジメント、つまり雇用ポートフォリオについて解説していきます。

雇用区分とは何か

雇用区分とは、人材を効率的・効果的に育成・確保・活用・処遇できるように、すべての従業員をいくつかのグループに分け、それぞれに異なる人事管理を適用する仕組みを指します。典型的には、非正規社員と正社員の区分のことです。

ただし、正社員と非正規社員といった呼称は、法律上定義されているわけではありません。実際、政府統計でも「正規/非正規」は、法律概念というより、主として**勤め先での呼称(呼び方)**を基礎に整理されています。

いわゆる正社員の要件

一般的には、いわゆる正社員は、次のような特徴を併せ持つことが多いと説明されます(ただし、現実には例外もあります)。

  1. 無期雇用であることが多い:つまり期間の定めのない雇用契約である場合が多い

  2. フルタイム勤務であることが多い:つまり、勤め先の通常の労働者(一般労働者)と同程度の所定労働時間で働く場合が多い(所定労働時間は企業・職種により幅がある)

  3. 基幹的に活用されることが多い:配置転換・職務の幅・育成の位置づけ等において、企業内の中核的な人材として運用される場合が多い

※ここでの「正社員」は、法律用語として厳密に定義されたものではなく、現実の運用を説明するための一般的整理です。政府統計では「正規の職員及び従業員」という呼称が用いられ、勤め先での呼称によって区分されます。

非正規社員の要件

一方、非正規社員は、実務的には「正社員以外」として語られることが多いのですが、実態としては多様です。整理の仕方には大きく2つあり、混同しないことが重要です。

  • (A)統計上の整理:政府統計(労働力調査等)では、非正規は主として勤め先での呼称が「パート」「アルバイト」「(労働者派遣事業所の)派遣社員」「契約社員」「嘱託」「その他」である者として整理されます。

  • (B)制度・契約の観点からの整理(分析枠組み):非正規の多様性を理解するため、しばしば次のような軸で整理します。

    1. 有期雇用:期間の定めのある雇用契約

    2. 短時間勤務:所定労働時間が、勤め先の通常の労働者より短い働き方(具体的時間数は企業・職種により異なる)

    3. 雇用と指揮命令の関係:雇用主(賃金支払・雇用契約の相手)と、日常の指揮命令を行う主体が一致するかどうか(例:労働者派遣では、雇用主は派遣元、指揮命令は派遣先)

※ここでの(B)は「非正規の定義」ではなく、雇用形態を理解するための整理枠組みです。

非正規社員の分類

要するに、非正規社員といっても、その雇用形態は多様ですが、労働法や実務の観点からは、とりわけ**雇用(誰と雇用契約を結ぶか)指揮命令(誰が日々の指揮命令を行うか)**の関係を区別して捉えることが重要です。

直接雇用の非正規社員は、パート、アルバイト、契約社員などに分けられます。

雇用と指揮命令が分離しうる形態として典型なのが派遣です。派遣労働者は派遣元と雇用契約を結び(雇用主は派遣元)、実際の業務上の指揮命令は派遣先が行う、という形をとります。

また、請負は、通常、発注元と労働者の間に雇用関係はなく、(適法な請負であれば)指揮命令は請負会社側が行います。ここは派遣と混同しやすい点です。

さらに、フリーランスは、多くの場合、雇用契約ではなく業務委託等で働くため、労働力調査の「雇用者(正規/非正規)」の枠組みとは基本的に別の区分になります。したがって「非正規社員」と同列に置く場合には、雇用者なのか自営的就業なのかを明確にしないと誤解を招きます。

ただし、こうした分類は厳密なものではありません。パートと呼ばれていてもフルタイムで働いている者もいるし、無期雇用の者もいます。

(図表)雇用形態を理解するための整理(概念図)

観点 直接雇用(雇用主=勤め先) 雇用と指揮命令が分離しうる形態/外部化
雇用契約の有無 あり(例:パート、アルバイト、契約社員、嘱託など) あり:派遣(雇用主=派遣元、指揮命令=派遣先)/あり:請負(雇用主=請負会社、指揮命令=請負会社)/なし(または雇用契約ではない):フリーランス(業務委託等)
契約期間 無期・有期いずれもありうる 形態により異なる
労働時間 フルタイム・短時間いずれもありうる 形態により異なる

※この図表は、統計の区分をそのまま置き換えるものではなく、雇用形態の違いを理解するための整理です。統計上の区分は次節のとおり、主として呼称に基づきます。

政府統計における雇用形態の区分

したがって、政府の統計資料では、雇用形態は勤め先での呼称・呼び方によって識別されることとなります。

具体的には、以下の7つに区分されます。

  1. 正規の職員及び従業員

  2. パート

  3. アルバイト

  4. 派遣社員(労働者派遣事業所の派遣社員)

  5. 契約社員

  6. 嘱託

  7. その他

正規の職員及び従業員以外の6区分はまとめて「非正規の職員及び従業員」とされます。

総務省統計局の労働力調査(長期時系列)によれば、役員を除く雇用者に占める非正規の職員及び従業員の割合は、1990年で20.2%です。
その後、長期的に上昇し、近年は概ね4割前後の水準で推移していることが、公表資料から確認できます。


次回は、非正規社員がどのような経緯を経て増加していったのか、1990年代から現在に至る動きを振り返ります。